今年も私たちの街に「うんげ」の芽吹く春が来ました

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私たちの街のあちこちで大切に育てられてきた「うんげ」の木。その春一番の柔らかい葉をナムルにすることを、ハルモニたちは毎年楽しみにしてきました。

この街の春は「うんげ」の木に一斉に吹き出す新芽と共にやってきます。池上町には大小の「うんげ」の木が恐らく20本はあります。「うんげ」はハルモニたちがこよなく愛する植物で(桐科の植物だと思われる)、一世の方たちが若いころ野山に行き、苗木を見つけては庭に植えてきました。

立派な木となった「うんげ」に瑞々しい葉が芽吹く春。それを摘んでは、ナムルにするハルモニたちの姿がこの街にはありました。「うんげ」のナムルは、ごはんを包んで頂くと格別のおいしさ。冷凍保存がきき、お出かけ時の弁当には必ず登場してきました。

かつて朝鮮の農村で育った在日一世は、「春の野山が私を呼ぶ」と、野草摘みに連れて行くよう私たちを急き立てたものです。タンポポの葉を摘み、「うんげ」の木を見つけて はしゃいだ春の遠足。そんな世代のハルモニたちも、今は亡くなられたり、外出が難しくなったりされています。

2016年春の野草摘み

この春は、新型コロナの対策で、在日高齢者交流クラブ「トラヂの会」も休止中。外出機会・居場所が奪われ、ハルモニたちの暮らしにしわ寄せがきています。その会場である桜本保育園の脇に、鉢植えの「うんげ」の木が今年も新芽を出しています。「みんなの家」の新しい会館がオープンする時には、この鉢植えの「うんげ」をハルモニたちに植樹して頂く予定です。