新型コロナでお休み中の「桜本子ども食堂」ですが、栄養バランスのよいごはんと、「気にしているよ」のメッセージを届けるべく、100食のお弁当を子どもたちに配布しました。

ふだんは3週間に1度開催している「桜本子ども食堂」ですが、新型コロナ感染拡大予防のため、3月の子ども食堂はお休みに。でも、給食が唯一 充分な栄養のとれる食事である子どもが少なくないと言われる現代、ボランティアの皆さんは、休校で給食もない中、子どもたちがちゃんとしたごはんを食べられているのか、とても心配していました。
そこで、集まって食事をする子ども食堂が無理なら、持ち帰れるお弁当で子どもたちを支援しようと、新たな取り組みの計画が始まりました。今回は、春休み中にふれあい館に頻繁に来る子どもたちに、メニューの書かれたチラシを直接渡して、保護者の了解を得て事前申し込みをしてもらう、という形を取ることにしました。「あなたのことを気にしているよ」という気持ちを届けよう という思いから、今回のお弁当は無料で配ることになりました。もちろん、お弁当の配布は ルーツにかかわらず希望する子どもたち全員が対象です。

さて当日の4月2日、調理場である「ほっとスペースマナ」に、ボランティアさんたちと、ほっとスペースマナとお弁当工房の利用者およびスタッフが集まり、お料理開始。 初のお弁当のメニューは、ふだんの子ども食堂でも人気の鶏の唐揚げと、野菜たっぷりのポテトサラダ、ブロッコリーの和え物です。当日企画を知って希望する子どもの分も考え、用意したお弁当は数にして実に100食!!
桜本子ども食堂の代表を務める坂谷さんは、幼児の拳骨ほどもある大きな唐揚げを揚げながら、「こんな時だからこそ、何かしてあげたいと思っていた。やっぱりおいしいものを食べるのがいちばん。」と、思いを語ってくださいました。

お弁当容器に詰める慣れない作業も、なんとか時間ギリギリに終了。まだほんのり温かいお弁当を、さくら小わくわくプラザ(全児童対象の学童クラブ)のスタッフが受け取りにやってきました。運ぶのを手伝いに来てくれた児童2人は、「普段はあまりマスクをつけないけど、今日はみんなのお弁当を運ぶのでマスクをしてる」と話してくれました。また、ふれあい館のスタッフと一緒にお弁当運びの手伝いにきた子どもたちに、休校中の昼食について聞いてみると、「カップ焼きそばが多いな」「うちはラーメン」と、インスタントが多くなっている様子がうかがえました。また、子ども食堂にはあまり来たことがなくて、お弁当配布はふれあい館のスタッフに教えてもらったと嬉しそうに言う子もいました。

一人ひとりに手渡されたお弁当には、「こんなときだからこそつながって さくらもとこども食堂」と書かれたカードと、かわいらしいチマ・チョゴリ姿の女の子のしおりが添えられました。チマ・チョゴリのしおりは、手仕事の得意な、ほっとカフェお弁当工房のスタッフ Hさんの手作り。一つ一つ違う色合いの衣装に、女の子たちはお弁当ごと取り換えっこを頼んだり、「これはお姉さん、お母さん、おばあちゃん」と楽しんだりしていました。

この先、子ども食堂がいつ食堂として再開できるのかはまだ見通せません。しかし、社会に大きな問題が降りかかった時、そのしわ寄せはより弱いところ――子ども、高齢者、障がい者に集まります。誰もが不安を抱えている時だからこそ、せめて子どもたちを食事で支援する活動は継続していきたい。限られた資源の中で何ができるか、ボランティアの方々と青丘社のスタッフとで現在 知恵を出し合っているところです。(H)